創作 はりま猫伝説『砕神の社(破磐神社)編 』

約一年にわたり、毎月一度集い、語り、想像し、少しずつ紡がれてきた物語
『はりま猫伝説(砕神の社編)』 が、今年完成しました。

舞台は、古代からの記憶が今も息づく播磨の地。

古代のはじまり ― 見野古墳群

兵庫県姫路市・四郷町に広がる 見野古墳群。

ここには、土器に残された 猫の足跡 という
不思議で愛おしい痕跡が今も語り継がれています。

人と猫が、まだ言葉を持たずとも心を通わせていた時代。

この足跡は、物語の「はじまり」となりました。

神話の地 ― 砕神の社(破磐神社)

物語の核となるのは、
三本の矢の伝承を抱く 砕神の社(破磐神社)。

神功皇后が放った弓が巨大な岩を砕いた──

そんな力強い伝説が今も伝えられ
境内には、古代から続く信仰の気配が静かに残っています。

岩と森に囲まれた境内に立つと
時間がゆっくりと巻き戻るような感覚を覚えるでしょう。

時を越える物語

この物語に登場するのは──

不思議な導き手となる猫 ミル

姫路で短くも幸せな時を生きた 千姫と忠刻

そして現代に生きる青年 カケル。

古墳時代、戦国・江戸、そして現代。

過去・現在・未来が、猫を軸に静かにつながっていきます。

物語に寄り添う挿絵

挿絵を手がけたのは、柔らかな筆致で物語の風を描く
南風〜MINAMIKAZE〜 さん。

言葉にならない余韻や静けさが、物語世界をより深く広げています。

物語を辿る旅へ

『はりま猫伝説(砕神の社編)』は、
読むだけでなく、実際に訪れて感じる物語です。

見野古墳群、破磐神社。

その地に立つことで、
なぜ猫が物語の中心となったのか、
なぜこの場所で語り継がれてきたのかを、
自然と感じ取ることができるでしょう。

播磨の地に重なる、静かで力強い時間の層。

ぜひ、あなた自身の足で
この物語の舞台を訪れてみてください。

※本作品および掲載画像の
無断利用・無断転載・複製・加工等は禁止しております。
Unauthorized use or reproduction is strictly prohibited.

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創作 はりま猫伝説
― 砕神の社(破磐神社)編 ―

 

ここは兵庫県姫路市の、とある古墳です。
大学生のカケルは、卒業論文のテーマを探すため、この古墳にやってきました。
日本の歴史を研究しているカケルは、自分の生まれ育った姫路には、まだ知らない場所があるのだと知り、ここへ来てみたのです。
写真を撮ったりしながら散策していると、すぐ近くに資料館があることがわかりました。
「詳しいことを知るには、ここへ行ったほうがよさそうだな。」
カケルは資料館へ向かうことにしました。
すると、そこへ1匹のネコが現れました。

 

「お!猫だ!かわいいな。おいで。」カケルはネコに手招きしました。
「ニャーン」ネコはカケルにすり寄ってきました。

 

 

 

 

大のネコ好きのカケルは、ネコを撫でて言いました。
「おまえも一緒に来るか?」
するとネコは、まるで資料館へ道案内するかのようにカケルの前を歩きだしました。
資料館へ着くと、カケルは胸がワクワクしました。
そこには、ネコの足跡が付いているという土器が置いてあったのです。
「すごい!こんな昔からネコがいたんだなあ!」
するとカケルの足元に、さっきのネコがやってきてじっとカケルを見つめていました。
カケルはネコに、 「お前は、古墳のところにいたよな?ひょっとして、おまえのご先祖様の足跡かもしれないよ!」と、笑って言いました。
するとネコは突然、外へ向かって走り出しました。
そして振り返り、カケルを待っているようです。
『コッチヘオイデ』
そう言われているようで、カケルはネコに付いていきました。
ネコはカケルのほうを振り向き、こう言いました。
『さあ、ワタシの背中に乗ってください!』
ネコがそう言うと、身体がみるみる大きくなり、弓矢のような形へと変わりました。
「なんなんだ?!これは!!」
カケルがそう思うより早く、身体が勝手に動き出しその大きな弓矢の上へ、ふわりと乗せられました。
矢はものすごいスピードで、空を飛んでいきます。
「うわあ!!!」カケルは矢にギュッとしがみつきました。
ものすごい速さで、姫路城の上を通り過ぎていくのが見えました。
「なんなんだ!どこへいくんだよ!」
そしてネコが変身した矢は、ある場所で地上に降りたのです。
時間にすれば、たった数分の出来事でしたが、カケルにはとっても長く感じられました。
降りたところを見渡すと、カケルは不思議な気持ちになりました。
「ここはどこだろう・・・。初めて来た場所のようだけど、なぜかなつかしい・・・。」
そう思って、ふと足元を見ると・・・
「え?!なんだ?これ?!」
カケルはスニーカーを履いていたはずなのに、なぜか「草履」に・・・。
そして驚くことに、見たこともない衣装を身に着けていたのです。
『思い出しましたか?』
ネコがそう言って近づいてきました。
そしてしっぽをピンと立てて、ぐるっと回しました。
すると、竹の葉がいっせいにさわさわと揺れだし、雲の割れ目から、真っ白い龍が降りてきました。
その背中には、美しい姫が乗っていたのです。

 

「あ!!あなたは・・・千姫?!」
カケルの記憶は、一気に前世へとさかのぼりました。
「あぁ・・そうか・・私は・・本多忠刻。そしてここは・・・砕神の社!」
「忠刻さま・・。思い出してくださいましたか。」千姫はそういうと手を伸ばし、忠刻の手を握りしめました。
「千姫。思い出しました。私はあなたとこの場所、砕神の社の割れ岩の前で、あなたを幸せにします・・・と誓いました。けれど私のほうが先に亡くなってしまい・・・約束が果たせなかった・・・。それがとても、心残りだったのです。」
忠刻に戻ったカケルは、そう言いました。
すると、千姫は何度もうなづき、こう答えました。
「忠刻さま。そんなことはありません。私はあなたと過ごした、あの時間が、人生で一番幸せでした。
あの時があったから、辛いときも乗り越えられたのですよ。あなたが私との約束を守れなかったことを、とても悔やんでいるということを知り、私はこの気持ちをあなたに伝えたくて、あなたに会えるよう、この不思議なネコ「ミル」にお願いしたのです。ミルのことも、思い出されたことでしょう。」
「ああ、このネコは・・! そうだ、城の中に時々現れる不思議なネコがいたね。そして、自分のことを「ミル」と言っていた。」
「そうです!私が忠刻さまに会えるよう願っていると、この子が現れて、連れてきてくれたのです。」
千姫と忠刻は、二人の想いを伝えあうことが、やっとやっとできたのです。
やがて、千姫は空へ龍とともに昇っていきました。
その姿を、ミルと忠刻はずっと、見えなくなるまで見つめていました。
「なあ、ミル・・・?」
忠刻が声をかけるといつのまにか・・・ ミルはいなくなっていました。
そして、忠刻は「カケル」に戻っていました。
でも、カケルの思い出の中には、今日のことはしっかりと刻まれていました。
「千姫、ミル。また、いつか会おうな・・・。」
不思議なネコ「ミル」。
今度はあなたに会いに行くかも・・。

 

 

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